要点
- アルゼンチン海軍は、シュペルエタンダール艦上攻撃機を2026年中に退役させると正式に発表した。
- フォークランド紛争で戦果を挙げた同機の退役により、同国海軍の空母航空隊の歴史は現役部隊から完全に途絶える。
40年の歴史に幕、シュペルエタンダール退役の経緯
アルゼンチン海軍は2026年8月20日、海軍航空の5カ年包括的再編計画「プラン・デダロ」の公表に伴い、シュペルエタンダール艦上攻撃機を今年中に退役させると発表しました。
同機は1980年から1981年にかけて14機が導入され、1982年のフォークランド紛争では対艦ミサイル「エグゾセ」を用いてイギリス海軍の駆逐艦を撃沈するなど、卓越した戦果を挙げた機体です。
空母「ベインティシンコ・デ・マヨ」の退役後も地上基地から運用が続けられてきましたが、2014年以降は飛行できない状態が続いていました。
部品調達の壁と「空母なき航空隊」の限界
退役の背景には、深刻な部品不足と国際的な軍事輸出規制の影響があります。 特に射出座席がイギリスのマーチンベーカー製であったため、フォークランド紛争後の規制により部品調達が不可能となりました。
2016年にはフランスから中古機5機を購入し再生を試みましたが、実現には至りませんでした。
空母を失った後も固定翼機を維持しようとする姿勢は、予算不足の中で「懐古趣味にムダ金を使っている」との批判を招くなど、軍の資源配分と戦略のあり方を巡る議論の対象となっていました。
空母航空隊の終焉と海軍戦略の転換
今回の退役決定により、アルゼンチン海軍から空母運用経験を持つ固定翼機が完全に姿を消すことになります。 これは、かつて「南米の軍事大国」と称された時代の象徴的な戦力が現役から退くことを意味します。
海軍は「プラン・デダロ」を通じて航空隊の再編を進める方針ですが、長年維持されてきた空母航空隊の歴史が途絶えることで、同国の海軍戦略は新たな転換点を迎えています。
今後、海軍航空隊の再編計画において、シュペルエタンダールに代わる新たな固定翼機やシステムが導入されるか、あるいは無人機など別の戦力へ完全に移行するかが、海軍の防衛能力の質的変化を左右する。