要点
- 中国の高速鉄道網は日本の約17倍の規模に達したが、大半の路線で採算が取れていない。
- 運営主体の負債は1兆ドル規模に膨らみ、維持費だけで年間数百億ドルの負担が生じている。
総延長5万キロ超へ拡大も、駅は閑散
中国の高速鉄道網は2025年末時点で総延長5万400キロメートルに達し、日本の新幹線網の約17倍の規模となりました。
しかし、各地で駅の利用者は極めて少なく、富順駅のように人口数十万人の地域に多数の駅が乱立する一方で閑散としている状況が指摘されています。
運営を担う中国国家鉄路集団の負債は2024年時点で1兆ドル(約159兆円)に迫り、債務維持のためだけに年間250億ドル(約3兆9800億円)の支出が必要な状態です。
黒字は全体の6%、膨らむ負債の構造
中国の高速鉄道事業は、都市間を結ぶ主要路線を除き、大半が赤字構造にあります。 収支の偏りは顕著で、全体の約6%にあたる北京―上海間などの主要路線のみが黒字を確保していると推計されています。
輸送密度(1キロメートルあたりの利用実績)においても、中国全体で1700万人キロと、日本の新幹線の半分程度の水準にとどまります。
需要の乏しい地域への過剰なインフラ投資が、運営主体の財務を圧迫する「巨大な金食い虫」となっている背景には、習近平政権による計画的な拡大路線があります。
不透明な収支実態と長期化する財政リスク
中国の高速鉄道網は、建設規模の拡大と財務健全性の悪化という二重の課題に直面しています。 現在、国家鉄路集団は高速鉄道単体の収支を公表しておらず、在来線と合算した決算を公表しているため、個別の路線ごとの赤字実態は不透明です。
市場では、採算性の低い地方路線の維持が、中国のインフラ運営全体に長期的な財政リスクをもたらすとの見方が強まっています。
現在非公開となっている路線ごとの収支データが公表された場合、赤字路線の規模と全体財務への影響がより具体的に判明し、現在の財務リスク評価が更新される。
今後発表される輸送密度のデータが改善傾向を示すか、あるいは低迷が続くかによって、過剰投資に対する現在の解釈が強化または修正される。